予期せぬ同居人・・

 こうして、家と土地は私たちのものになった。
 しかし、この家と土地から、一緒に暮らしたくない相手に出て行ってもらう必要がること、そして、それは、簡単ではないかもしれないことに、私たちはすぐに気付かされた。
 ネズミの糞が落ちていたり、かじった跡があることには最初から気がついていた。でも、それは、この家に人が住んでいた昔のことで、家財が運び出されて久しい空き家にネズミが住み着いているとは考えなかった。
 帰りの車の中で、体のあちこちが痒くなってきたとき、この考えが間違っていたことを知った。そういえば、家の周りに新しい糞も落ちているようだった。
 これから少しずつ手を入れていき、2〜3年後には引っ越してくるつもりでいたが、家の中で作業するには、その前にネズミとダニの駆除をしなければならないようだ。
 まずは床板をはがし、土台をむき出しにして地面からの進入口をふさいだうえで、ネズミ一発退場と、ダニアースで家全体を燻蒸することから始めよう。

 家の裏では、恐ろしげなハチの羽音に驚かされた。太った大きなハチが派手な羽音で飛び回っている。妻はそれは熊蜂で、蜜や花粉を食べるハチだから刺さない、退治する必要はないという。妻が心配しているのは、家の中にダニアースを蔓延させたら外のハチまで死んでしまうのではないかということだ。
 しかし、妻よ、このハチどもは、我が家の軒柱に直径3cmほどの巣穴をいくつもくり抜いて住み着いているんだよ。英語でcarpenter beeというだけあって、上手に木に穴を開けるもんだよね・・なんてのんびりしていてはいけない。

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